マンション 子猫
翌朝、幼い鳴き声に目が覚める。
昨晩の子猫だな、
声のする方の小窓をそっと開けた。
猫達を驚かさないように。
窓から覗くと、草陰に様子を伺う母猫のスリムな姿があった。
子猫はその視線の先。
見付けるのは簡単、茶色の小さなシッポが
丈高い草むらに行ったり来たり。
金網フェンスに囲まれた貯水槽の周り。
金網の下は地面との隙間があり、
丁度、子猫が潜り込む位の隙間。
お母さんはスリムだけど下手に潜って
金網で引っ掻き傷でもつくっては。
私はしばらく様子を見ていて、
助け出そうかと思ったけど、人間の臭いの付いた子猫を警戒心の強い母猫が喜ぶのか
分からなかったし、そもそもサイズの違う私が鳴り物入りで登場したら、小さな彼らはパニックだろう。
静かにまた窓を閉めていた。
決して野生ではない、野良猫たち。
人間の勝手の隙間を抜けて生きていく。
切なくて、やるせない、
自分の様々な身勝手がただの傍観者にならないように
そして、